退職代行サービスとはなにか?

退職代行サービスとはなにか?
-依頼する前に知っておきたい知識を解説!!-

この数年で「退職代行サービス」という言葉を聞く機会が増えてきました。
その名のとおり「退職手続きのための連絡を代行するサービス」ですが、「なぜそんなサービスが必要なのか?」、「本当に辞められるのか?」、「リスクはないのか?」などの疑問を持つ方も多いでしょう。
このページにはそんな退職代行サービスを理解する上で必要な情報をまとめています。あなたが退職代行サービスを正しく理解する助けになればとても嬉しいです。

  1. 退職代行サービスは何をしてくれるのか?
    1. サービス提供者による対応の違い
    2. 弁護士による退職代行サービスの特徴
    3. 弁護士以外(代行業者)による退職代行サービスの特徴
  2. 退職代行サービスは本当に必要なのか?
    1. 退職時のトラブル増加
    2. コロナ禍の退職代行サービス
  3. 退職代行サービスで本当に辞めることができるのか?
    1. 民法では2週間前の申し入れで退職可能
    2. 人事規定・就業規則で2週間後の退職が認められていない場合
    3. 契約社員や公務員の退職代行は要注意
  4. 退職代行サービスに依頼すればもう会社に行かなくていいのか?
    1. 即日退職は原則不可能
    2. 退職日まで出社しないことは可能
    3. 退職前の有給休暇取得の考え方
  5. 退職代行サービスにリスクはないのか?
    1. 代行業者の退職代行に潜むリスク
    2. 弁護士を含めた全ての退職代行に潜むリスク
  6. 退職代行業者を選ぶ際に注目すべき3つのポイント
    1. 退職以外のメリットに注目する
    2. 費用に注目する
    3. 悪質な代行業者を避ける
  7. まとめ

1.退職代行サービスは何をしてくれるのか?

退職代行サービスとは実際にどのようなことをしてくれるのでしょうか。
サービスの提供者が弁護士か弁護士以外かによって、対応可能な業務範囲には差があります。

1-1.サービス提供者による対応の違い

弁護士と弁護士以外(以後、代行業者とします)で提供するサービスにどのような違いがあるのか、下の表にまとめてみました。

退職代行サービスサービス内容比較表

1-2.弁護士による退職代行サービスの特徴

弁護士という「法律のプロ」に依頼する最大のメリットは「安心感」でしょう。訴訟リスクが懸念される場合には交渉により訴訟を回避できる可能性が高まります。
また退職だけでなく会社への要望(未払い賃金の請求など)が受け入れられる可能性を高めることもできます。

価格相場は5万円以上と比較的高い金額設定となりますが、訴訟リスクの低減や特殊な要望にも対応してもらうことが可能です。ただし訴訟の弁護費用や特殊な要望の交渉費用は退職代行サービスとは別料金となることが多いので、事前に価格設定を確かめておく必要があります。

1-3.弁護士以外(代行業者)による退職代行サービスの特徴

代行業者に依頼するメリットとしては、「価格相場の低さ」と「多様な退職後サポートがある」という2点があります。

まず価格相場は3-5万円と依頼先によっては弁護士の半額程度で依頼が可能です。
また退職後のサポートとして転職エージェントへの紹介や働き方改善サポート(Nextepより提供しています)などの、弁護士が提供していない付加価値を提供する代行業者もいくつかあり、退職後の負担や不安を解消することもできます。

代行業者が主体となって会社と交渉をすることは法的に認められていません。
そのため退職の手続きが完了するまで、退職者と会社それぞれの意向を業者が聴きとり、その内容をそのまま伝達するという作業が繰り返されます。 特殊な要望がある場合は伝達作業が増大するおそれもありますが、退職と有給消化の意思伝達のみであればそれほど労力はかからず、難なく退職に至るケースがほとんどです。

2.退職代行サービスは本当に必要なのか?

「退職の意思表示くらい自分でするべき」と考える人も多いでしょう。しかしそれでも退職代行サービスの需要が急拡大しているのはなぜでしょうか。
その背景には「退職表明時のトラブル増加」があります。

2-1.退職時のトラブル増加

厚生労働省から公表された「平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況」には、「自己都合退職」に関するトラブルの相談件数がこの10年間で倍増していることが示されています。
つまり会社を辞められなくて悩む人が急増しているのです。
このような背景を踏まえると退職代行サービスの需要拡大も自然な流れと言えます。

自己都合退職相談件数グラフ
厚生労働省「令和元年度個別労働紛争解決制度の施行状況」https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000643973.pdf

また「いじめ・嫌がらせ」の相談件数も倍増しています。
いわゆるハラスメントの増加が退職しにくい職場を作り出していることも示唆しています。

2-2.コロナ禍の退職代行サービス

新型コロナウイルスの感染拡大により世界的な経済危機が広がっている現在、経営難に陥る会社も少なくありません。
人員削減を検討するなど退職を歓迎する会社も増えています。

しかし業種によっては人手不足が加速し、労働環境が悪化した会社も多く存在します。
そうした会社では「辞めたくても辞められない」雰囲気が作られます。
実際にコロナ禍の影響を受けて転職意欲が高まったという方も多く、退職代行サービスの根強い需要につながっています。
ただし現在は求人も低下傾向にあり、退職代行サービスの利用に関わらず転職先を決めてから退職する方がよいでしょう。

3.退職代行サービスで本当に辞めることができるのか?

「依頼してみたいけど、本当に辞められるか不安」という人もいるのではないでしょうか。ここではそんな不安を解消していきたいと思います。

3-1.民法では2週間前の申し入れで退職可能

民法の第627条第1項には下記のような定めがあります。

『当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。』

つまり退職届はいつでも提出することができ、その2週間後には退職できることが認められています。また退職代行サービスを利用したとしてもこの原則は変わりません。

3-2.人事規定・就業規則で2週間後の退職が認められていない場合

人事規定や就業規則には退職までの期間が民法よりも長く設定されている場合もあります。
しかし前述の民法第627条第1項は『強行規定であるというのが学説上では通説である(ただし反対学説もある)。つまり、たとえば就業規則で労働者の辞職の場合に30日前の予告を義務付けていたとしても、その規定に拘束力はない。』(『』内は「プレップ労働法[第6版]著者:森戸英之」より引用)

3-3.有期労働契約社員や公務員の退職代行は要注意

雇用期間が定められた契約社員の退職には「やむを得ない事由」が必要となることが、民法第628条に定められています。
しかし1年を超える有期労働契約の場合には、契約期間の初日から1年を経過すると自由に退職できることが労働基準法附則137条に定められています。
また公務員は民法の対象外となり、退職に関するルールが異なりますので弁護士に退職代行を依頼することをおすすめします。

4.退職代行サービスに依頼すればもう会社に行かなくていいのか?

もしあなたが退職代行サービスを依頼した場合、退職日までの2週間以上をなんのストレスもなく出社できますか?
「できればもう出社したくない・・・。」という方も少なくないと思います。
ここでは依頼後に出社せず退職することができるのかを説明していきます。

4-1.即日退職は原則不可能

繰り返しになりますが、民法では退職届の提出から退職日までの期間が2週間と定められています。つまり、退職届を提出した日を退職日とすることは原則できません。

どうしてもすぐに退職したい場合は、会社の合意を得る必要があります。
そのためには会社との協議が必要になるため、弁護士に依頼すべきでしょう。

4-2.退職日まで出社しないことは可能

退職日までの期間中ずっと休暇を取ることで出社せず退職することは理論上可能です。
また退職代行の際に休暇取得の意向を伝達してもらうこともできます。
よほどのブラック企業でもない限りは、退職代行利用時にも有給消化が認められているのが現状です。
なお、無断欠勤は懲戒解雇等のデメリットを招く恐れもあるのでお勧めしません。

5.退職代行サービスにリスクはないのか?

退職代行サービスを利用する上で、どのようなリスクがあるのか気になる方もいるでしょう。
退職失敗やトラブルになった事例もあるので、退職代行のリスクとその原因について説明します。

5-1.代行業者の退職代行に潜むリスク

最近では弁護士の指導を受けている代行業者も増えており、代行業者でも問題なく退職できたケースがほとんどですが、中には悪質な業者もあるため注意が必要です。
代行業者へ依頼する場合は、次の2つのリスクに注意しましょう。

リスク①:退職できない
退職申し入れ当日を退職日とするなど、法的に認められない手続きを強引に進めた結果、退職できなかった上に懲戒解雇になってしまったケースも過去にあったようです。

リスク②:訴訟等のトラブルになる
退職時に求められた引継ぎを実施しなかった等の理由で、訴訟となる場合もあります。
代行業者の中には「損害賠償請求の訴訟を起こすメリットよりデメリット(訴訟費用)の方が大きいため、引継ぎをしなくても訴訟になることはまずありません」と説明する業者もありますが、見せしめ的に訴訟に踏み切った会社が過去にありました。
対面での引継ぎが難しければ書面でも構わないので、求められた引継ぎには対応した方がよいでしょう。

5-2.弁護士を含めた全ての退職代行に潜むリスク

弁護士を含めた全ての退職代行サービスに共通するリスクもあります。
「とにかく早く辞めさせてほしい!」という心理状態だからこそ見落としがちな、非常に重要なリスクです。

それは「退職がゴールと考えてしまう」ということです。
つまり「会社を辞めればそれだけでより良い生活が手に入る」と思い込んでしまうのです。

退職とは「終わり」であり、「始まり」でもあります。
過去の生活を終えることだけに意識が向けられ、考え方や行動が変わらないまま新しい生活を始めると、結局は退職前の環境をまた招いてしまうということがよくあるようです。
実際に退職代行サービスの利用者にはリピーターも多く、このようなリスクの存在を裏付けています。

もちろん苦しい状況から解放されれば、一時的に生活の質が向上することは間違いありません。
しかしこれは問題が解決したのではなく、問題が先延ばしされただけという可能性も十分あります。

ここで大切なのは自分を見つめなおすこと。つまり退職をきっかけに自分の行動や考え方、キャリアを見直してより良い生活を手に入れるための準備を整えることです。

とはいえ、「自分を見つめなおしたいけど何をすればいいのかわからない・・・。」という方もいるでしょう。
その場合には個々の状況に応じて下記の専門家に相談するのもよいでしょう。

  • ビジネスコーチ
    コーチングを通してあなたの課題解決・目標達成を支援します。ビジネスコーチは一方的に意見を押し付けるのではなく、より適切な考え方や行動をあなた自身から引き出すため、自主的な対応力が身に付きます。
  • キャリアコンサルタント
    あなたの興味や価値観、能力や特性をもとに、あなたがより能力を発揮でき、高いモチベーションで働くことのできる適職の発見など、キャリア上の課題・悩みの解決を支援します。
  • 臨床心理士
    強い不安や恐怖により適切な行動を取ることができないなど、あなたの心のお悩みの解決を心理学的な方法を用いて支援します。

6.退職代行業者を選ぶ際に注目すべき3つのポイント

実際に利用する際にはどのように依頼先を決めるべきなのでしょうか。
ご自身の状況にあった退職代行サービスがどれなのか、弁護士or代行業者・価格・特徴・リスクなどを複合的に判断する必要があり迷ってしまう方もいると思います。
そんな方のためにここではあなたに合った退職代行サービスの選び方を説明します。

ここに記載する内容をまずはフローチャートにまとめました。

退職代行サービス業者の選び方フローチャート

6-1.退職以外のメリットに注目する

はじめに注目すべきは、「退職」以外に提供される「メリット」です。
「とにかく退職できるならなんでもいい」と考える方もいると思いますが、退職代行サービスなので退職できるのは当たり前(悪質な代行業者を除く)なのです。
退職以外のメリットを提供する業者も多くあり、これを見過ごすのは得策ではありません。

例えば弁護士であれば、退職+「訴訟等トラブルを避けるための交渉」というメリットを提供できます。利用者がなんらかの訴訟リスクを抱えているのであれば、これは必須のメリットと言えます。
ただし、実際に訴訟された場合の対応費用は基本的に別料金となります。退職代行サービスを弁護士・代行業者のどちらに依頼しても訴訟対応は別料金ということになるのであれば、「訴訟対応」は弁護士に依頼する際のメリットとは言えません。

また代行業者にも「退職」以外のメリットを提供する業者がいくつかあり、その一例を下記に紹介します。

  • 転職サポート
    提携の転職エージェントを利用して転職先を決定した場合、退職代行サービスの費用をキャッシュバック
  • 退職できなければ全額返金
  • 働き方改善サポート(退職代行サービスNextepのオリジナルサービスです)
    ビジネスコーチ・キャリアコンサルタント・臨床心理士のいずれかによるカウンセリング(最大15,000円分)を退職代行費用+5,000円で受けることができる

6-2.費用に注目する

「退職」以外にあなたが必要とするメリットが決まれば、それに該当する業者の価格を確認しましょう。
費用が高いから辞めやすいというわけでもないので、高額な業者を無理に選ぶ必要はありません。

6-3.悪質な代行業者を避ける

代行業者に依頼する場合は、悪質な業者でない(適切な退職手続きを実施してくれる)ことを確認しておく必要があります。
まずホームページに「即日退職」を肯定するような表記がある業者は注意が必要です。
即日退職が法的に認められないことを理解していないか、誤解を与えかねない表現をあえて使用している可能性もあります。
また利用前には必ず、どのようなリスクがあり、リスク低減のためにどのような対策を取っているのかを確認しましょう。ここでリスクの存在を否定された場合や、リスク低減策の説明や根拠が不十分な場合は依頼を避けた方がよいでしょう。

7.まとめ

退職代行サービスはますますその需要を拡大しています。
コロナ禍により表面上はその需要が落ち着いたかに見えますが、業種によってはさらに労働環境が悪化し根強い需要があります。

退職代行サービスの費用は代行業者でも3~5万円とけっして安価ではなく、自分自身で退職手続きを進められる方にとっては価格に見合う価値はありません。
しかしどうしても退職できず苦しい状況にある方にとっては価値あるものとなり、「退職代行はコスパが高い」という利用者も少なくありません。

弁護士はもちろん、最近では弁護士から指導を受けた代行業者でも安全に退職が代行できるようになってきています。
また様々な付加価値を得られるような退職代行サービスも増えてきており、利用者はご自身の状況に応じたメリットを提供できる業者を選択することが重要になってきています。

ここまで退職代行サービスについてできるだけ詳しくわかりやすく説明したつもりですがご理解いただけたでしょうか。
特に利用を検討されている方には、正しく理解した上で適切に依頼先を決めてもらえることを切に願います。
退職という人生の岐路に立ったあなたが少しでも明るい方向に進む助けができれば、これほど嬉しいことはありません。